看護師のリーダーシップ研修

Nurse

リーダーシップ研修は,看護教育部開設以来の新人看護師研修に次ぐ歴史ある研修で,2001年頃より現在のスタイルに整備され,毎年,自薦あるいは師長推薦の5~10名程度の参加者が集まる。

対象者は経験5年以上とし,近年は主にチームリーダーもしくは今後チームリーダーの役割を担う者を対象として実施している。

研修内容は講義を少なくし,合宿や事例検討,リーダーとしての実践に重きを置いている。研修期間中に全4回のレポート提出があり,参加者にとってかなりの負担がある。しかし,問題や課題を客観的にとらえ,自分の思考や学びを整理してレポートを作成することで,リーダーとしての言語化・文章化のスキルを身につけてほしいという願いもあって,あえて課している状況である。

1.講義「リーダーシップ論」

講義の狙いは,「リーダーシップの基本的な知識を得るとともに,当院で期待されるリーダーシップについて理解し,自分がどのようにリーダーシップを実践していくかを具体化するための知識を得る」ことである。

講師は,元当院看護師長で現在は川崎市の病院で副看護部長をしている方である。

この講義には,さまざまなリーダーが登場し「新しいリーダーシップ論」「アサーティブ・トレーニング」などについて,事例を用いて学ぶ。参加者は,その中から,自分のコミュニケーションスタイルを見直したり,さまざまなりーダー像をイメージしたりする。

2.合宿研修

この合宿研修の指導は教育学の教授にお願いし,「動作法」という手法を用いて研修を組み立てていただいている。

研修では,講師の指示した動作・姿勢(たとえば,l人が立位で目を閉じ,後ろへ倒れる。それをもう1人が後ろで支える)をとり,そこでの自分の思いや行動を素直に感じ取り,他者がとる動作や感じ方との違いを体験する。

そこから人は皆,違うこと,自分や他者の思いを大切にすることを学び,さらに他者への態度・言動が変化していくことも実感していく。各動作のセッション終了後のリフレクションで,1人ひとりが感じた思いや気付きを共有し,講義形式では得られない学びが深まっていく。

さまざまな動作を取り入れてこれを2日間,繰り返す。動作とリフレクションのみという研修スタイルに最初は戸惑うこともあるが,宿泊形式で日常から離れることによって参加者同士の交流も深まり,他部署の事情や同じような立場で類似した悩みを持つ仲間として,お互いの関係性も作られていく。

講師は「参加された方がそれぞれに自らを振り返り,課題に気づき(自らに課題を与え),その課題に取り組む気持ち(意欲)を自ら立ち上げること」をご自分の課題にして合宿に取り組まれているという。自分の成長の可能性を信じ,リーダーとして問題に取り組むきっかけにしてほしい,という願いがこの研修にはあると考えている。

3.事例検討

事例検討は,各自が持ち寄る課題について同じような立場の研修仲間や講師からの客観的で自由な意見を取り入れながら,自分なりに方向性を見据えていくことが期待されている。目標は「自分のチームの問題や課題についての解決方法を考え,リーダーとしての計画的な実践ができること,またその実践から自分のリーダーとしての課題に気付くこと」としている。

講師は看護系大学の教員にお願いしている。

事例は,リーダー役割を考えるきっかけとなった具体的な出来事,たとえば職場の人間関係やスタッフ指導,業務改善,医師との協働・困難事例などさまざまであるが,これらの解決方法をグループワークで検討し,所属部署に持ち帰り実践する。

事前提出の事例レポートでは,とかく自分のリーダーとしての課題にばかり目が向きがちであるが,検討を通して部署やチームの問題を見出し,看護の主体は患者であることを基本に,患者に与える影響について客観的に捉えることに視点が変わっていく。

そこから,「自分が目指す,あるべきチームの姿」を目標に,リーダーとして「今の自分にできること」を講師や参加者からのアドバイスや励ましをもらいながら,さらには合宿での学びも活かしながら進められる。

所属部署での上司部下,先輩後輩などの人間関係にはない研修独自の人的ダイナミックスが課題への対応の新たな発見を導くと考えている。

主催する側としては結果の良し悪しよりも,リーダーとしていかに部署の問題や自分自身の課題に取り組んできたか,事例検討の場で自分の考えや意見を積極的に発言できたか,他者の意見やアドバイスを聴くことができたかということが重要だと考えている。

約3か月近くかけて実践する事例検討での達成感や自信が,今後のリーダーとしての活動にもつながる,研修の核となる部分である。

4.キャリアラダー講義

当院でのキャリアラダーの仕組みや,求めるりーダー像について,直接看護部長が担う講義である。看護部長自らの経験や,設置母体である国家公務員共済組合連合会の勤務評価制度と当院のキャリアラダーなどの関連性,職務定義書などと照らし合わせ,今後の自分のキャリアアップについて考える機会ともなる。

また,リーダーシップ論の講義の内容とも照らし合わせ,今回リーダーとして実践してきたことの意味づけや,今後の方向性なども考える研修最後の講義である。

管理人

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